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水たたき 山本周五郎 

【朗読】水たたき 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「水たたき」です。(昭和30年)この作品に登場するかわいい女「おうら」が魅力いっぱいです。周五郎作品に出てくる女性は可愛くて魅力的ですね。

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水たたき 主な登場人物

辰造・・・料理屋「よし村」の主人。三十三歳の時、料理屋「紋重」の女中おうらを嫁にもらい、道楽も女とも手を切った。

おうら・・・明るくてみんなに好かれ可愛がられるタイプ。自分のことを「おたふくでとんま」と云う。

角田与十郎・・・二十八歳で裏の長屋に住む浪人。病身の妻と四歳の孝之助の三人家族。

徳次郎・・・「よし村」の板前だったが、半年前から浅草の並木で「大吉」という料理屋をやっている。

安吉・豊治・平吉・おまき・・・「よし村」の職人と女中。

久七・・・渡職人。腕のいい職人だが、酒飲みでどこにも長くいつくことができない。

いせ・・・おうらの叔母。亭主はすでに亡く、二人の子があり、ひどく貧乏。おうらのためにつきあいを遠慮すると云っている。

水たたきのあらすじ (※ネタバレを含みます)

辰造は「あのこと」があってから二年近く人づきあいをしなかった。三十三で結婚するまで気ままな遊蕩に耽り好きな女を囲った。金には不自由しなかったので、そういう色ごとが辰造にとって何より強い誘惑であり、よろこびであった。三年ちょっと前に、同業の寄合が「紋重」であったとき、辰造は紋重の若い女中おうらに逢った。おもながの顔に目鼻立ちがぱらっとして器量よしというよりも、まだ子供っぽく、あどけないような感じの方が目についた。辰造は仲人ぬきで紋重へじかに話し、道楽もやめる、女とも手を切る。そう云ってねばった。紋重では夫婦とも反対したが、おうらは「あたしぜひゆきたい」と云い、二人は結婚した。おうらは鏡をみるたびに「おたふくだわねえ」と感じ入ったように呟く。とんまなことも嘘ではない、よく躓いて転ぶし、物を忘れるし、聞き違いや云い違いはのべつだった。けれども辰造にとってはそれが却って好ましく可愛らしく思えた。

かん太
辰造は「人間は生きているうちのことだ。何もかも生きているうちのことだ。死んでしまえば一切がおしまいだ。生きているうちにできるだけのことを経験し、味わい、楽しむのが本当だ。」辰造はそう信じ、そういうふうに生きてきた。
アリア
だから、おうらにも色々な経験をさせてやりたい。自分は飽きるほど遊蕩をし、女をかこったこともある。同じことを全部とはいわないが、せめて浮気の一度くらいは味あわせてやりたい。と思ったんだよ。
かん太
辰造は、それほど愛情が深かったんだ・・・。何度も「おまえ浮気をしたい相手がいたらしてもいいぜ。」とよく云ったんだよ。そしてそれがきっかけで、おうらが・・・・・

水たたき 覚え書き

煮方(にかた)・・・調理場で物を煮ることを受け持つ者。板前に次ぐ役目。

きすぐれ・・・酩酊すること。泥酔者のこと。へべれけになること。

追従(ついしょう)・・・他人の気に入るような言動をすること。こびへつらうこと。

尺五(しゃくご)・・・五尺のこと。標準的な人間の身長を指した。

紙本(しほん)・・・紙に書いた書画・文書。

落款(らっかん)・・・書画が完成した時、作者が署名し、または押印すること。

遊印(ゆういん)・・・自分の名や号を用いずに、好みの語句などを彫った印。文人が自分の書画などのサイン代わりに用いる。

家蔵(いえくら)・・・財産・身代。

真贋(しんがん)・・・本物と偽物。また、本物か偽物かということ。

舌鋒(ぜっぽう)・・・言葉つきの鋭いことを、ほこ先に例えていう語。

新吉原(なか)・・・江戸時代、明暦の大火後に日本橋から浅草に移転した遊郭の呼称。

のべつ・・・絶え間なく続くさま。ひっきりなしに。

池畔(ちはん)・・・池のほとり。いけのはた。

朋輩(ほうばい)・・・同じ主人に仕えたり、同じ先生についたりしている仲間。

四万六千日(しまんろくせんにち)・・・7月10日の観世音菩薩の縁日。東京浅草寺では境内にほおずき市が立つ。

索漠(さくばく)・・・心を満たすものがなく、物寂しく感じるさま。荒涼として気の滅入るさま。

風貌(ふうぼう)・・・風采と容貌。身なりや顔つきなど、外から見たその人のようす。

訥弁(とつべん)・・・話し方がなめらかでないこと。また、そのさま。

訥々(とつとつ)・・・口ごもって、つかえながら云う。

根太(ねだ)・・・床板を支える横木。

 

 

 

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