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笠折半九郎 山本周五郎 

【朗読】笠折半九郎 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「笠折半九郎」(昭和16年)です。この作品は、世間の評判、つまらない感情のささくれや行き違い、思い過ごしなどに振り回される主人公・半九郎と小次郎の友情と、彼らが二十年仕える主君頼宣との信頼の厚い主従関係が描かれています。

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笠折半九郎 主な登場人物

笠折半九郎・・・紀伊家の中小姓、二十七歳。西丸角櫓の番之頭を兼任し、食録三百石、生一本で直情径行、武骨物。一徹で強情。

畔田(くろだ)小次郎・・・紀伊家の中小姓、二十五歳。食録二百五十石、沈着な理性に強い性格で、気質では兄格。

徳川頼宣・・・藩士を大切に思う紀伊藩主。

笠折半九郎のあらすじ (※ネタバレを含みます)

半九郎と小次郎は互いに無二の友人として相許していた。また、早くから主君頼宣に仕えて二人とも別々の意味で深く愛されていた。半九郎と小次郎の喧嘩がどう始まったかよく分からないが、些細なことで口論になり、時のはずみで半九郎は食い下がり、翌朝、二人は果し合いをすることとなった。時間が経つと、半九郎は自分の怒り方が度を越していることに気付き、どう考えても果し合いをするほどの問題ではない感じがはっきりしてきた。しかしまたすぐ新しい怒りがこみあげてきた。どれほど親しい間柄でも云ってよいことと悪いことがある。その夜、半九郎は宵のうちに寝た。すると誰かが雨戸をけたたましく叩く音がした。それは小次郎だった。彼はお城が火事になったことを知らせにきたのであった。

かん太
お城の火事を知らせてくれた小次郎に感動する半九郎。十七人の番士と身命を賭して角櫓と宝物を守るんだ。翌々日、頼宣が帰城して、防火の労をねぎらい、それぞれに恩賞の沙汰をする。しかし半九郎には何の言葉もなかったんだ・・・・

笠折半九郎 覚え書き

直情径行(ちょくじょうけいこう)・・・自分の感情のままを言動に表すこと。また、そのさま。

弾奏(だんそう)・・・弦楽器を演奏すること。

面色(めんしょく)・・・顔色。

後事(こうじ)・・・あとの事。将来の事。また特に死んだあとのこと。

私かに(ひそかに)・・・人に知られないように物事をするさま。

遊芸(ゆうげい)・・・遊び・楽しみのためにする芸事。

光暈(こううん)・・・輝いている者の周囲に見える、淡い色のかさ。

定紋(じょうもん)・・・家々で決まっている正式の紋。また、個人が決まって用いる紋。

旱天(かんてん)・・・久しく降雨がなく日照りが続くこと。また、その空。

劈く(つんざく)・・・勢いよく突き破る。つよく突き破る。

屹然(きつぜん)・・・山などが高くそびえ立つさま。

荘厳(そうごん)・・・重々しさがあって立派なこと。

大磐石(だいばんじゃく)・・・物事の基礎がしっかり据わっていて揺るぎのないこと。

鬢髪(びんぱつ)・・・鬢の部分の髪。

遠島(えんとう)・・・江戸時代の刑罰の一。追放より重い死罪より軽い島流し。

妄念(もうねん)・・・迷いの心。誤った思いから生じる執念。

本復(ほんぷく)・・・病気が全快すること。

所労(しょろう)・・・疲れ。病気。

穏当(おんとう)・・・おだやかで無理のないこと。また、そのさま。

讒訴(ざんそ)・・・他人をおとしいれようとして、事実を曲げて言いつけること。

憤激(ふんげき)・・・はげしくいきどおること。ひどく怒ること。

正味(しょうみ)・・・余分なものを取り除いた、物の本当の中身。

自儘(じまま)・・・周囲の事情など考えずに、自分の思うままに物事をすること。また、そのさま。

賞美(しょうび)・・・ほめたたえること。

 

 

 

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