足軽奉公 山本周五郎 読み手 アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「足軽奉公」です。この作品は新潮文庫/朝顔草紙に収録されています。主人公の右田藤六は親の代からの足軽で、二十歳のときその小頭を命ぜられ、「気骨者」としてなかまの衆望を集めています。彼は槍術の師範に十五歳で入門し、現在では師範とさえ対等に勝負できる腕になっていました。
足軽奉公 主な登場人物
右田藤六・・・足軽小頭、足軽を蔑ずむ士分の言葉に怒り、友人鉄之助を槍で傷つけ妹と退国する。その時、槍ひとすじの武士になろうと誓う
汀(なぎさ)・・・兄の友人、鉄之助に嫁に欲しいといわれる日を心待ちにしている。退身した兄と流浪の旅に出る。
横井鉄之助・・・藤六の友人。藤六の槍の師範の息子。忿怒した藤六の槍が左腿に突き刺さる。
忠秋・・・お浜館といわれる藩主の弟。闊達な、悪くいえば粗暴な青年。江戸邸でもてあまされ、この国許に蟄居させられている。
足軽奉公のあらすじ (※ネタバレを含みます)
岩代のくに三春は槍術が盛んにおこなわれていた。しかし足軽は、年に一度行われる槍術の「大試合」に出ることはできなかった。槍術の師範と対の勝負をする右田藤六さえ出場できなかった。藤六は自分が修行を励むかたわら、なかまの足軽たちにも手ほどきをしてやっていた。みんな「せめて士分に取立てられたい」と熱心に稽古し上達もめざましかった。時代は泰平の世相でさむらいの気節をも毒し、士分の人々は、親代々の食録を守っていればいい、もはや合戦もない、という投げた気持ちから稽古もお役目で一般の腕も低下していた。大試合のあったその日、番頭の広間で武士たち十五、六人が足軽を蔑ずみ貶めていた。藤六は怒りに震え槍で相手をしろと云う。相手に出てきたのは友人の鉄之助だった。藤六と鉄之助の槍と槍が相打ち、藤六は大きく地を蹴りながら突っ込み、鉄之助の左腿に三寸あまりも突き刺さってしまう。このことで藤六は汀と退国し、そして藤六は槍ひとすじの武士になると誓った。そんな彼が赤穂の木賃旅籠で出会った飴売りの老人の話で・・・
足軽奉公 覚え書き
餌差(えさし)・・・竿の先端にもちをつけ、鷹の生餌とする小鳥を捕らえること。またそれを生業とする者。
下馬評(げばひょう)・・・第三者が興味本位にするうわさ・批評
弛廃(しはい)・・・ゆるみすたれること。行われなくなること。
衆望(しゅうぼう)・・・大勢の人たちから寄せられる期待・信頼。
尚武(しょうぶ)・・・武道・武勇を重んじること。
偸安(とうあん)・・・目先の安楽を求めること。
諒解(りょうかい)・・・物事の内容や事情を理解して承認すること。
僭上(せんじょう)・・・身分を超えて出過ぎた行いをすること。
相恩(そうおん)・・・主君・主家などから代々恩義を受けていること。
無為徒食(むいとしょく)・・・なすべきことを何もしないでただ遊び暮らすこと。
忿懣(ふんまん)・・・怒りが発散できずいらいらすること。腹が立ってどうにも我慢ができない気持ち。
木賃(きちん)・・・素泊まりの客が煮炊きなどのための薪代として宿に支払う金銭。
谷峡(たにかい)・・・両側が切り立った崖からなる谷。
落魄(らくはく)・・・おちぶれること。
蟬脱(せんだつ)・・・古い因習や束縛から抜け出すこと。
高邁(こうまい)・・・志が高く衆に抜きんでていること。
恪勤(かっきん)・・・まじめに職務に励むこと。
蟄居(ちっきょ)・・・江戸時代、武士に科した刑罰の一。自宅や一定の場所に閉じ込めて謹慎させたもの。
不羈(ふき)・・・物事に束縛されないで行動が自由気ままであること。また、そのさま。
白皙(はくせき)・・・皮膚の色が白いこと。
艱難辛苦(かんなんしんく)・・・人生でぶつかる困難や苦労。
躄(いざり)・・・足が不自由で立てない人。
苦衷(くちゅう)・・・苦しい心のうち。
述懐(じゅっかい)・・・過去の出来事や思い出をのべること。
この漢字書けなーい!と思いました(汗)