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椿説女嫌い 山本周五郎

【朗読】椿説女嫌い 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「椿説女嫌い」です。この作品は昭和23年娯楽世界に掲載されました。江戸から赴任してきた新しい勘定奉行、折岩弥太夫が勘定奉行の事務を執り始めた。弥太夫の女嫌いは江戸屋敷で知らない者はない。妻を持たないばかりか、召使も女を置かない。赴任してきてすぐ十年倹約の思し召しが出て表でも諸用切り詰めているところ、長局の畳替えをするように老女、浪尾ゆうが云いに来る。弥太夫は、これまでにも奥向の歳費が格外に多いこと、殊に目見以上の扶持外交費が目立っているため畳替えは削るように云った。この頃の幕府、大藩諸侯に共通して、藩主の婦人や側室を擁する「奥」の勢力はひじょうなもので、女官長は今日の某公卿からきているし、老女、中臈、若年寄、右筆、表使、御次、呉服などの目見以上が十二人、三之間、末がしら、中居、使番、火番、膳所番、茶所、子供、端下などの目見以下三十余人、ほとんど江戸屋敷と同じ組織を持っていた。政治の運営もこれら女官たちの好意と支持がなければうまくいかなかった。これは不均衡であり、不公正である。男女は同県でなければならない。たとえ封建伝統の世なりとて、男も人間であってみればそうそう女の専権に屈服してはいられない。弥太夫は男権確立のために戦う決心をした。畳替え拒否はその第一着手だったのである。

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椿説女嫌い 主な登場人物

折岩弥太夫・・・二十六歳、二千石の老職の二男。美男でも醜男でもない、背丈は五尺七寸(173センチ)でがっちり肉の締まった体つき。面長でふっくりした顔、女嫌い。

浪尾ゆう女・・・老女。畳替えを拒否する新しい勘定奉行、折岩弥太夫が隣に越してきてから意地悪な嫌がらせを続ける。

(名前が面白い人物)

阿波照蔵(あわてるぞう)・・・弥太夫の家の家僕。

鎌谷千兵衛(かまやせんべい)・・・国老。弥太夫に「奥」に手を出さないよう忠告する。

鑓田宮内(やりたくない)・・・弥太夫の家の家扶

椿説女嫌い 覚え書き

蔑された(なみされた)

唯物的(ゆいぶつてき)・・・すべての根源を物質と考え、精神の実在を否定すること。

痴者(しれもの)・・・愚か者。

権高(けんだか)・・・プライドが高くて傲慢なこと。

嬌羞(きょうしゅう)・・・女性のなまめかしい恥じらい。

毒念(どくねん)・・・人に害を加えようとする心。

朴念仁(ぼくねんじん)・・・がんこで物の道理の分からない人。

優艶(ゆうえん)・・・やさしくしとやかなこと。

充溢(じゅういつ)・・・満ちあふれること。

嗜慾(しよく)・・・あることを好み、欲するままにそれをしようと思う心。

齟齬(そご)・・・物事がうまくかみ合わないこと。

 

 

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