【朗読】恋芙蓉 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「恋芙蓉」です。(昭和10年キング)伊達政宗の家臣で、朱兜隊の谷屋鞆之助と主兜隊長・杉森勘三郎は幼馴染みで、勘三郎が鞆之助を弟のように馴れ愛してきた間柄だった。悲しみも喜びも分かち合い、互いに精励しつつ、死すとも離れじと固く友情で結ばれていた。朱兜隊というのは百騎をもって組まれ、大使はいずれも果敢豪勇の人物を選び、また隊の目印ともいうべき鉢金を朱色に塗った兜は、政宗からじきじきに下賜されるという名誉の遊撃部隊であった。戦場で手傷を負って帰郷していた鞆之助は、戦場へ戻る前に小菊と夫婦約束をする。勘三郎もまた朱兜隊長に任ぜられた出世の喜びを、留守役の親族とわかってこいと五日の休暇をもらって帰郷していた。勘三郎は小菊の素振りで自分が小菊に愛されていると思い込んでしまう。
恋芙蓉 主な登場人物
小菊・・・甚左衛門の娘、勘三郎の従姉妹。
谷屋鞆之助・・・二十五歳。朱兜隊士。戦場に行く前に小菊と夫婦約束をする。
杉森勘三郎・・・朱兜隊長、小菊の従兄。早く母を失い、続いて父軍兵衛に先立たれ、甚左衛門を父とも母とも思って育った。小菊を愛している。
恋芙蓉 覚え書き
いきれ・・・蒸されるような熱気、ほてり。
夜鳥(やちょう)・・・夜鳴く鳥。
先鋒(せんぽう)・・・戦闘で部隊の先頭に立って進む者。
下賜(かし)・・・身分の高い人から低い人にものを与えること。
袂別(べいべつ)・・・別れ
精励(せいれい)・・・勉学や仕事などに精を出して勤め励むこと。
転戦(てんせん)・・・あちこちと場所を変えて戦うこと。
荏苒(じんぜん)・・・なすことのないまま時が過ぎていくこと。
月余(げつよ)・・・ひと月以上。
淋雨(りんう)・・・長雨。
奮然(ふんぜん)・・・ふるい立つさま。
険路(けんろ)・・・けわしい道。
死地(しち)・・・生きて帰れないほど危険な場所。
鞍上(あんじょう)・・・鞍の上。
闇天(あんてん)・・・暗い空。
無二無三(むにむさん)・・・わき目もふらずに一途になること。
鏖殺(おうさつ)・・・皆殺し。