【朗読】「こいそ」と「竹四郎」 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「こいそ」と「竹四郎」(昭和21年)です。本堂竹四郎は足軽組頭であった。それが去年の春、城代家老である藤川平左衛門にみいだされ助筆に任命された。その頃としては稀有な抜擢で、家中の耳目を驚かせた。彼は剣術が上手で、十九歳のときに藩の精明館の代師範に挙げられた。竹四郎の教授要目は、身じまい、服装、作法正しい挙措の三条であった。いざ立ち合いとなると簡単に済んでしまう。打ち合うことは殆どなかった。門下の人たちは云った。身だしなみだの行儀のことなんぞばかりうるさく云って、これではまるで舞の稽古みたようじゃないか。そして「代師範の舞い舞い剣術」という陰口が一般的になった。
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「こいそ」と「竹四郎」 主な登場人物
本堂竹四郎・・・城代家老の助筆に抜擢される。助筆は難しい役で老職席と諸役所との取次と周旋に当たるので、めはしが効き、すばやい判断と洞察力が必要で、しかも勘定奉行が空席で城代の兼務で多忙だったので、彼はしばしば下城のあとで藤川邸につめて事務を執っていた。そのとき城代の娘「こいそ」を知り彼女を愛するようになる。
こいそ・・・十八歳。明るくはっきりした気性で、見るからに愛くるしくすがすがしい娘。二年前からたびたび縁談があるが「ゆかなくともいいのならゆかないほうがいい、もう少し娘のままのんびりしたい。」と云っている。
岡田金之助・・・良家の育ちだが、眼に落ち着きがなく軽薄な人間。竹四郎に対して「お前とは身分が違うぞ」と言いたげな様子をみせる。
藤川平左衛門・・・竹四郎を助筆に抜擢する。こいそをだらしのないほど可愛いがっている。