【朗読】山だち問答 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「山だち問答」(昭和21年)です。郡玄一郎はごく平凡な人間でとりたててこれという能才もない。「おれの取柄はただ出しゃばらないのと口数が少ないことだ。」自分でそう信じていた。しかしそこを高く評価され、「郡は人物だ」と評判がたってから書院番のときにはいつかしら肝入りに推されていたし、番頭に目をつけられて馬廻り扈従に引き抜かれ、槍奉行の女との結婚が決まった。ある日、彼は主君の仰せつけで使者に立つが、峠の路高みへ出た時山賊に出会い身ぐるみ置いていけと云われる。しかし御主君の御用で行く途中なので、ここで裸になっては御用が果たせない、衣服大小は帰りに渡すからそれまで自分に貸してほしい、武士に二言はないと交渉する。
山だち問答 主な登場人物
郡玄一郎・・・大垣藩、馬廻り扈従。出しゃばらず口数の少ない男。世評に振り回される。
佐田権太夫・・・槍奉行。玄一郎を見込んで娘と婚約させる。
小雪・・・老職・戸田内記の娘で男勝りで薙刀、小太刀は達者で馬にはひじょうに堪能。我儘で男そっくりという評判。
赤松六郎左衛門・・・伊吹山住人の山賊の頭。
かね・・・郡家の老婢。
なつ・・・戸田家の侍女。暇を出されて郡家を訪ねてくる。
山だち問答 覚え書き
追手門(おおてもん)・・・城の正門。
権高(けんだか)・・・気位が高く傲慢なこと。
野放図(のほうず)・・・人を人とも思わない図々しい態度。
犬馬の労(けんばのろう)・・・主君や他人のために力を尽くして働くこと。
追従(ついしょう)・・・人の気に入るような言動をすること。
斟酌(しんしゃく)・・・相手の事情や心情をくみとること。
哄笑(こうしょう)・・・大口をあけて笑うこと。
志操(しそう)・・・かたく守って変えない志。
高潔(こうけつ)・・・人柄が立派で利欲のために心を動かさないこと。
伊曽保物語(いそほものがたり)・・・イソップ物語。室町末期にポルトガル語から口語に訳された。
奇知(きち)・・・すぐれた知恵。
胆力(たんりょく)・・・ことにあたって恐れたり尻込みしたりしない精神力。
落首(らくしゅ)・・・風刺や批判、嘲りの意を含めた匿名のざれ歌。
面罵(めんば)・・・面と向かってののしること。
嘲罵(ちょうば)・・・あざけりののしること。