【朗読】薊 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「薊」です。(昭和34年)加川銕太郎は妻ゆきをとの夫婦生活がうまくいっていませんでした。誰の眼にも二人は平安な生活をしているように見えるし、ゆきをは妻としての役割を立派に果たしていましたが、銕太郎には妻ゆきをの本心をつかむことができないと思い悩んでいました。ゆきをは昔から、家中の娘たちのあこがれのまとで、「あざみの花」という仇名がありました。藩士の岡野が云うには、「薊には棘があって、妹もほかの娘も傷ついた娘がかなりいる」ということだった。この作品はゆきをとの会話は過去、佐久馬とは現在と過去と現在が交互に書かれているので読んでいて全体が、不思議な幻想的な感じがしました。
薊 主な登場人物
加川銕太郎・・・御側用人。誰の眼にも二人は平安な夫婦に見えるが、銕太郎は妻の本心が分からず、本当のお前を見、本当のお前と語り、本当のお前と触れ合いたいと思っている。
ゆきを・・・銕太郎の妻。乙女の頃から薊の花が好きで、着物や帯などに染めさせていた。やや大柄で胸乳や腰は小さいほうだった。小さいけど固い乳房、すんなりと少年のようにのびやかな腰の線は艶めかしいというより匂やかですがすがしい感じだった。
加川佐久馬・・・銕太郎の弟。
岡野弥三郎・・・ゆきをの噂を銕太郎に伝える。
薊 覚え書き
片明かり(かたあかり)・・・ほのかなあかり。うすあかり。
ほほける・・・草や髪の毛がほつれ乱れる。
好色本・・・遊里などにおける好色生活を主題としたもの。
母堂(ぼどう)・・・他人の母を敬っていう語。
新律(しんりつ)・・・新しく制定された法律。
借覧(しゃくらん)・・・書物などを借りて読むこと。
うまずめ・・・子供のできない女。
掻巻(かいまき)・・・袖のついた着物状の寝具、防寒着のこと。
まろ寝・・・衣服を着たまま寝ること。
書肆(しょし)・・・書物を出版したり売ったりする店。
故実(こじつ)・・・昔の儀式、法制、作法などの決まりや習わし。
数寄者(すきもの)・・・物好きな人。好事家。
猿戸(さるど)・・・庭園の入り口などに用いる簡素な木戸。
形骸(けいがい)・・・精神や生命を別にした躰、むくろ。
不決断(ふけつだん)・・・心を決めかねて物事を定めないこと。