【朗読】樅ノ木は残った 1の8 風のまえぶれ 断章2 山本周五郎 読み手アリア
江戸の残暑がなお厳しい中、伊達家の重臣たちは、家中の和を保つための誓紙に署名する会議を開く。だが、国老・奥山大学はその場でただ一人、誓紙への署名を拒み、「主君のためによきことならば独りでも申す」と声高に主張する。さらに、十年間の堪忍を誓う文言にも「堪忍ならぬ意趣があれば、堪忍はならぬ」と断言。周囲の重臣たちが和を保とうとする中で、大学はただ己の信念と誇りを貫こうとする。
その激しい態度に驚きつつも、会議は一応の決着を見る。跡継ぎを決める「入札」でも大学は異を唱えるが、最終的には「意見は江戸で述べる」と言い残し、入札に参加することを了承する。だが、その裏には複雑な思惑がうごめいており、江戸と仙台の間にある深い溝と、家中に渦巻く暗い野望が、静かに表面化しつつあった。
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樅ノ木は残った 1の8 主な登場人物
🔷 伊達家側(仙台藩の政治・家中の人物)
名前(敬称略) | 立場・役職 | 説明 |
---|---|---|
奥山大学 | 国老(伊達家重臣) | 誓紙を拒否し、入札にも異議を唱える。傲岸不遜だが一本気で信念を曲げない人物。 |
遠山勘解由 | 評定役 | 奥山大学の弟。兄の指示で評定会議に異を唱える。 |
石川大和 | 重臣 | 会議をまとめようとし、奥山の暴走をなだめる役。 |
安房(宗実) | 伊達家の一門 | 江戸に出府して会議に参加し、全体の流れを主導。奥山を抑えようとする。 |
吉岡 | 伊達家一門老臣 | 出府予定で、意見は江戸邸で述べる予定とされる。 |
亀千代 | 綱宗の子 | 跡継ぎ候補の筆頭。乳飲み児であるため、政情に波紋を広げている。 |
綱宗 | 前当主(逼塞中) | 放蕩の責めを負わされ隠居に追い込まれる。 |
兵部少輔(宗勝) | 伊達家一門 | 綱宗排斥の中心人物と疑われる。裏で多くを操る黒幕的存在。 |
右京(宗良) | 綱宗の兄 | 跡継ぎ候補の一人。 |
式部(宗倫) | 綱宗の兄 | 跡継ぎ候補の一人。 |
一ノ関 | 伊達家の家中 | 綱宗の放蕩を演出するための指示役とされる。 |
渡辺九郎左衛門 | 家臣 | 新八の兄の仕え先。原田甲斐とつながりがあり、政変に関わる。 |
原田甲斐 | 評定役・家中の重鎮 | 表面上は温厚、裏で暗躍しているとおみやは疑っているが、新八は信頼。 |
大槻斎宮 | 家中の人物 | 情報収集に長けた人物で、江戸へ到着。 |
船岡 | 家中の人物 | 原田甲斐を訪ね、板倉侯と接触している。 |
板倉侯 | 幕府の高官 | 原田と接触している人物。政局に関与している可能性あり。 |