【朗読】虚空遍歴 独白2 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、おけいの独白2回目です。この独白がこの話の随所に挟まれていて、物語をグッと引き立てています。今回も、現在の旦那である竹島与兵衛についての描写と、彼女の心の中で特別な存在である「あの方」についての思い出が綴られています。
虚空遍歴 独白2 主な登場人物
おけい(語り手)・・・現在は竹島与兵衛に囲われている。あの方に強い思慕と敬愛を抱いている。
あの方・・・八千石の旗本の家に生まれる。家の事情が複雑で兄弟がいる。芝居や芸事に熱中し、家を出て新しい人生を歩んでいる。
竹島与兵衛・・・現在のおけいの旦那、隠居しているが、政治向きの仕事に関わることもある。性格は静かで穏やかだが怒ると怖い。
あの方の家族・・・父親はあの方を非常に可愛がる。母親は厳しい人で、あの方を厳しく扱った。祐二郎(兄)は異母兄弟。祖父(勘也)は派手な遊びをし、芝居の桟敷を買い切っていた。
お京さん・・・岡本の綺麗な一人娘で、あの方に尽くしている。周囲からはあの方の妻になると信じられている。
虚空遍歴 独白2 アリアの感想と備忘録
おけいの内面が繊細な描写で描かれていて、彼女の複雑な身の上を語りながらも、心の奥底であの方に対する深い愛情と憧れ、そして現実と空想の間で揺れ動く心の動きの描き方が素晴らしいと思いました。あの方の三味線の音色や唄声を心の中で聴き続ける場面は、おけいの中のあの方の存在感が大きなものだっということがわかります。また旦那である竹島与兵衛に見せるおけいの微妙な距離感と心の揺らぎは、囲いものとして生きる中で感じる義理や情、そして自分の存在意義についての葛藤などを感じました。