【朗読】虚空遍歴 9の2 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、人形浄瑠璃の竹本座の人たちの前で、冲也が「由香利の雨」の全曲を披露するところから始まります。冲也の浄瑠璃が竹本座の人たちにどう評価されるか楽しみです!それでは最後までごゆっくりお楽しみください。
虚空遍歴 9の2 主な登場人物
冲也・・・竹本座の人たちの前で「由香利の雨」の全曲を歌う。酒に酔うと毒舌になるため生田に連れ出される。
生田半二郎・・・冲也の世話を焼く。冲也とおけいさんの関係や酒癖について心配し、冲也に率直に意見を言う。
上村ぶん楽・・・道頓堀に住む人物で、冲也の浄瑠璃を気に入り、酒の支度を命じる。
近松紋太・・・人形使いの世話役。冲也の浄瑠璃を聴くために集まった。
おけい・・・冲也の側に付き添う女性。彼女の献身的な態度から生田は、彼女が冲也に惚れていると考えている。
虚空遍歴 9の2 あらすじ
数日後、冲也は道頓堀の近くにある上村文楽の家で「由香利の雨」の全曲を披露します。集まった六人の人形使いと世話役の近松紋太、そして主人のぶん楽もその場にいました。冲也は慣れない三味線を弾きながらも、その歌声は集まった人々に感動を与え、人形使いの三人はすぐにでも稽古を始めたいと熱望します。しかし冲也は自分の浄瑠璃にはまだ何かが欠けていると焦っています。その後、酒を飲みながら、生田半二郎は冲也におけいさんとのことに問いかけます。冲也はなんでもないと答えますが生田は、おけいの気持ちを考えるよう説得します。二人は激しい言い争いを続け、生田は冲也の芸のために人を利用する姿勢に嫌悪感を示します。冲也もまた、生田の指摘に怒りを感じるのでした。
虚空遍歴 9の2 アリアの感想と備忘録
冲也が慣れない三味線で「由香利の雨」を歌う場面は、彼の才能がどれほど素晴らしいかを示しつつも、彼が抱える内面の葛藤も浮き彫りにしていました。集まった人々に感動を与えた彼の才能は際立っていますが、その後の展開はやっぱり一筋縄ではいかないのです。生田半二郎がおけいさんとのことを率直に言うのは、冲也にとっては耳の痛いものではあるけど、友情の深さと彼を思いやる気持ちが感じられました。冲也はおけいさんに対して恋愛感情を持っていないと断言しますが、彼女の献身的な態度を考えると、その関係に読者はみんな疑問を感じるのではないでしょうか。生田が指摘するように、おけいの存在が冲也にとってどれほど大きいかが見えました。