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花筵6 山本周五郎

【連載朗読】花筵6 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「花筵6」です。二月になってお市は島田村の美濃甚へかようようになった。産褥から起き出した時分に なにか草のようなものを堆高く積んだ車がしきりに通るのを見かけて げんに聞いてみたところ、それは藺とも燈心草ともいうもので多く畳表にするのだが、島田村の美濃甚という家で花筵をつくるのだという。お市はなにか適当な仕事を見つけて生活を立てていこうと考えていたので姑の磯女の承諾を得るとすぐにげんにたのんで中継ぎを頼み、機子として雇われることになった。げんに伴れられて訪ねた美濃甚は、茅葺合掌造りの母屋と大きな長細い箱に屋根と切窓を付けたような変わった作りの二棟があった。お市は通い始めて三十日ほどしてから手代の万吉老人にその望みを話し、他の女たちとは別に自分の工夫仕事をさせてもらうことにした。ある日、仕事の相談で主の貞二郎に呼ばれて母屋の二階に上がっていくと、そこは建物の見つきも飾りつけもひどく眼馴れないものだった。

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花筵6 主な登場人物

お市・・・帰参に希望が持てるか分からず、信は女子なので、新しく自分で生きる方法を立てるため仕事を探していた。そして機子になると決心したのは、これまでにない柄模様の花筵を作りたいという望みがあったからだった。

貞二郎・・・美濃甚の主。三十四五くらいの痩せた青白く沈んだ顔つきで、疲れ倦んだような眸子と気味の悪いほど細くて長い指が眼につく。お市を想っている。

万吉・・・美濃甚の手代。

花筵6 覚え書き

花筵・・・色んな色に染めた藺で、草花や風景などを織り出した花茣蓙。

卍くずし・・・卍の児を変形した模様。

別墅(べっしょ)・・・別宅

目はしのきかない・・・機転が利かない。

洛中四季・・・京都の四季。

見つき・・・外観。

寸厚み・・・厚さ三センチ

機子(はたこ)・・・機を織る女性。

慇懃(いんぎん)・・・きわめて丁寧なさま。

気を計る・・・相手の気持ちをおしはかる。

ひとかどの・・・一人前の。

おおしく・・・力強く。

儀々しい(ぎぎしい)・・・堅苦しい。

金殿玉楼(きんでんぎょくろう)・・・非常に美しくて立派な建物。

 

 

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