【連載朗読】花筵5 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「花筵5」です。丈助老人の家で妻女げんにとりあげてもらってお市は女の子を産んだ。丈助はその小笠村でも富裕な地主の一人だった。隠居してからも手作りの蔬菜や柿、梨などという季節のものを大垣まで担いでゆき、小遣いくらいはけっこう稼いでいた。妻女のげんもお産のとりあげとか治りにくい病人のある家などに絶えず呼ばれてゆく。どちらも相当ひろく知られていた。姑と相談して「信」と名付けた赤子は、五十日余りも早く生まれたが、霜の下りる頃には驚くほど肉付いて、誰の眼にも月足らずとはみえないくらい発育がよくなった。辰弥は赤児が産まれてからまるでもう彼はたましいを奪われたかたち彼の可愛がりようはちょっと桁外れで、見ていても吹き出すようなことがしばしばあった。
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花筵5 主な登場人物
丈助・・・五十七歳。小笠村でも富裕な地主の一人。大垣に蔬菜などを売りに来ては、いつも辰弥と話し込んでいた。
げん・・・五十七歳。髪も黒くたっぷりして、頬はいつも赤みがさして艶つやしている。子を取り上げるのがうまい。