【連載朗読】花筵2 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「花筵2」です。里の奥村からお市に宛てて、初めてのお産は実家でぜひぜひさせたいので迎えをやりたいという手紙が来た。しかしお市は里へは帰らずに、この家でお産をしたいとはっきり答えた。里に帰った時に聞いた弁之助の言葉が思い出されて「帰る」とは云えなかったのだ。お市は胎児の発育も母体も申し分のないほど順調だった。ある夜、奥村の母から送って来た安産のお守りを信蔵に見せていると、縁先に誰かが入って来た。それは江戸屋敷の戸田五郎兵衛だった。お市は洗足の支度をしながら暗い不安な気持ちでいっぱいになるのだった。
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花筵2 主な登場人物
奥村喬所・・・お市の父。大垣藩老職。お市を鍾愛している。
奥村弁之助・・・お市の四番目の兄。
丈介・・・野菜を持ってくる百姓。お百姓というより町家の隠居風。印伝皮の莨入れから莨を出してひっきりなしに吸いながら辰弥といつもまるで友達同士のように話し込む。
戸田五郎兵衛・・・大垣藩士。突然、陸田家にやってくる。三十、三歳の痩せた中背の人で、下の前歯が一本欠け、左の二の腕に新しい傷がある。
花筵2 覚え書き
無音(ぶいん)・・・行き来がないこと。
こころ丈夫・・・心強いこと。
しなしな・・・弱弱しいさま。
うまが合う・・・気が合うこと。
町家・・・町人の家。
印伝皮(いんでんがわ)・・・ヒツジやシカのなめし皮に型染めをしたもの。
もの案じげに・・・心配げに。
忌み日・・・禍があるとして身を慎む日。
海馬(うみうま)=たつのおとしご