【朗読】五瓣の椿 連載第4回 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回の連載第4回は、懐かしい過去と現在の葛藤が交錯する情景を描いています。喜兵衛は幼少期の記憶に浸り、特に家の近くにあった椿の咲く池で孤独を癒した思い出を語ります。喜兵衛はその美しい椿が心に染み込むように幾度となく池の側で悲しみや不安を静かに抱きしめたと振り返り、涙を浮かべます。彼は人生の大半を仕事に捧げ、椿のことを忘れていたという告白は、失われたものへの郷愁と未練とを滲ませます。一方おしのは、母親の不道徳な行動に直面して衝撃と苦悩を抱くのでした。
五瓣の椿 連載第4回 主な登場人物
喜兵衛・・・川崎在の農家で育ち、幼少期の思い出に強い郷愁を感じている。奉公先で婿入りをし、仕事に追われて他のことを後回しにしてきた。
おしの・・・父の病状を心配し、母が若い役者と関係を持っていることを知り、怒りと悲しみを抱きつつ、父が亡くなる前に母を連れ戻そうと決心する。
おその・・・おしのの母親。夫が危篤であるにもかかわらず、若い役者と箱根へ出かけて行き、おしのとの約束を破る。
おとよ・・・瀬戸物問屋の主婦で、おそのの友達。派手で遊び好き。軽薄で不快な話し方をする。
島村東蔵・・・若い女形の役者。おそのと関係はないが、母の浮気相手として最初に疑われる。彼はおしのに対して誠実な態度を示し、母親が本当は誰といたのか教える。
菊太郎・・・子役から引退した役者。
佐吉・・・中村座に勤める出方でおしのの知人。おしのに真実を伝える。
備忘録
群葉(むらば)
しんしょう・・・心の中で思いめぐらすこと。
悪心(あくしん)・・・恨みを抱き、悪事をしようとするよこしまな心。
乱行(らんぎょう)・・・ふしだらな振る舞い。