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目次

備前名弓伝 山本周五郎

【朗読】備前名弓伝 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「備前名弓伝」です。この作品は昭和21年講談雑誌に掲載されました。備前の国、岡山の藩士青地三之丞は弓の名手だったが、ひどく無口で世間話などにはいつも横を向いていた。

備前名弓伝 主な登場人物

青地三之丞・・・三百石、十九歳で家督相続し、お弓組にあげられた。幼少の頃からおっとりした性質で起こったという顔を見せたことも喧嘩口論をした例がない。

青地三左衛門・・・三之丞の伯父。「雷三左どの」とあだ名がある性急で早合点で少しもゆったりしたところのない始終せかせかとかけ廻って怒鳴り散らす。

なつ・・・三左衛門の娘。三之丞と四つ違い。さして美人ではないが思い遣りの深い利口な娘。

滝川幸之進・・・二百石、馬廻り。一刀流の名人。ひねくれた性質。

山川重郎左衛門・・・弓の師範。三之丞の才能を見抜いている。

池田光政・・・備前岡山三十五万石の領主、文武の道に精しい古今の名君。

浅野光晟(みつあきら)・・・安芸の国広島藩主。光政と同じ年くらいでよく話の合う間柄。参勤の上り下りには必ず二三日滞在する。

備前名弓伝 覚え書き

されば・・・そんなわけで。そうであるから。

性急(せいきゅう)・・・気が短くせっかちなこと。

早合点(はやがてん)・・・よく聞いたり確めないうちにわかったつもりになること。

天成(てんせい)・・・生まれつき。

無双(むそう)・・・並ぶものがないほど優れていること。

慣例(かんれい)・・・習慣のようになっていること。

諫言(かんげん)・・・目上の人の過失などを指摘して忠告すること。

稀代(きたい)・・・世にもまれな、めったに見られないこと。

兇猛(きょうもう)・・・荒々しくたけだけしいこと。

犇々(ほんぽん)・・・すきまなくぴったりした様子。

とうとう・・・太鼓の鳴り響くさま。

悄然(しょうぜん)・・・元気がなくうちしおれていること。

昵懇(じっこん)・・・親しく打ち解けて付き合うこと。

万福(ばんぷく)・・・多くの幸福。

浮沈(ふちん)・・・栄えることと沈むこと。

理合(りあい)・・・理由、道理。

暴慢(ぼうまん)・・・あらあらしく自分勝手なこと。

 

 

 

 

児次郎吹雪 山本周五郎

【朗読】児次郎吹雪 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「児次郎吹雪」(昭和12年)少女倶楽部に掲載された少女ものです。児次郎は、元松江藩の徒士頭だった父と兄、松太郎の親子三人、むつまじいくらいにいささかの曇もなく育っていました。隣邸の郷士の娘お冬は、児次郎とは幼い頃から兄妹も及ばぬ仲の良い相手でした。ある日、児次郎とお冬がつれだって道を急ごうとした時、二人の行手を見馴れぬ武士七、八名に立ちふさがれてしまいます。この時から児次郎はお家騒動に巻き込まれていくのでした。

かん太
少女ものらしく、お冬が大活躍します。幼馴染の児次郎とお冬の淡い恋も爽やかな気持ちになります。
アリア
昭和11年頃から色んな雑誌に作品を発表するようになっていった山本周五郎。少年・少女ものもワクワクドキドキする作品が数多くあります。

児次郎吹雪 主な登場人物

椙山児次郎・・・十七歳、絵に描いたような前髪立ちの美少年。松江藩のお家騒動に巻き込まれる。

お冬・・・隣邸の郷士の娘。

新宮甚右衛門・・・松江藩の国家老。児次郎を利用して、松江藩の権力を握ろうとしている腹黒い男。

甚右衛門一味・・横目付倉田宗九郎、勘定奉行林右近、物頭和田六郎兵衛、畠島忠左衛門、御側用人鈴木伝造の五名。

松江城主、松平信太郎義綱・・・まだ部屋住のころ、おもよという側女が松太郎を産んだ。しかし、それから間もなく、義綱へ徳川家から千代姫が輿入れすることになったため、幕府に憚るため、松太郎を椙山重兵衛に預けた。

児次郎吹雪 覚え書き

伯耆(ほうき)・・・旧国名のひとつ。山陰道に属し、鳥取県の中西部にあたる。

顫える(ふるえる)

慄える(ふるえる)

西行(さいぎょう)・・・西行が諸国を遍歴いたところから、諸国を歩き回ること。また、その人。

面魂(つらだましい)・・・強い精神、気迫の表れている顔つき。

人品(じんぴん)・・・人としての品格。特に身なり、顔立ち、態度などを通して感じられるその人の品位。

検める(あらためる)・・・詳しく調べる、吟味する。

一札(いっさつ)・・・一枚の書付、一通の手紙、文書。

如件(くだんのごとし)・・・前記記載の通りである。書状、証文の最後に書き記す語句。

僭称(せんしょう)・・・身分を超えた称号を勝手に名乗ること。

必定(ひつじょう)・・・そうなると決まっていること。

隠退(いんたい)・・・社会的活動の第一線から退くこと。

密雲(みつうん)・・・厚く重なった雲。

密議(みつぎ)・・・秘密の会議。

謀議(ぼうぎ)・・・計画相談すること。

雪女郎(ゆきじょろう)・・・雪女

霏々(ひひ)・・・雨や雪などが、しきりに降るさま。

斃れる(たおれる)

墨痕(ぼっこん9・・・筆で描いた墨の跡。

斬奸(ざんかん)・・・悪者を斬り殺すこと。

賊臣(ぞくしん9・・・主君に背く臣下。

かん太
いかがでしたか?短編ですが波乱万丈な話が飽きさせませんでした。最後の「焼き捨てた」に惚れたアリアです。

 

 

 

入婿十万両 山本周五郎

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「入婿十万両」です。昭和11年、婦人倶楽部に掲載されました。徳川幕府を始めとして大小の諸藩、いずれも財政難に当面していた寛政年度。讃岐多度津の京極家もその例にもれず、年来の疲弊つもりつもって藩政は殆ど逼迫の頂点に達していた。最も困惑していたのが大坂の富商山屋八左衛門から借り入れた五万余両の金だった。これには吉野の檜山が抵当に振り当てられてあったため、万一返済ができない場合には京極家の重要な財源を押さえられることになるのだ。重役は財政立て直しを計ったが、どこをどう改革すべきか名案がない。そこで藩主が昌平黌で教えを受けた岡田寒泉に助力を願うことにした。隠退している寒泉は、大坂の唐物売買商、難波屋宗右衛門の息子、浅次郎に財政立て直しを頼むこととなる。

入婿十万両 主な登場人物

矢走浅二郎・・・大阪の富商、難波屋宗右衛門の息子。京極家の財政立て直しのため入婿する。

矢走不由・・・澄透るような凄艶な顔に険しいものが見える、京極家随一といわれる男勝りで才知容色をもつ。

矢走源兵衛・・・不由の父。御槍奉行。

京極高信・・・藩主

厨川靱負・・・国老

入婿十万両 覚え書き

重畳(ちょうじょう)・・・この上もなく満足なこと。

凄艶(せいえん)・・・ぞっとするほど艶めかしいさま。

仰臥(ぎょうが)・・・あおむけに寝ること。

林子平(はやししへい)・・・江戸中期の経世家。

才子(さいし)・・才知にすぐれた頭の回転が速い人。

範読(はんどく)・・・書物をひもといて読む。

払暁(ふつぎょう)・・・明け方

三更(さんこう)・・・午後11時からの二時間。

披読(ひどく)・・・書籍などを開いて読むこと。

賜謁(しえつ)・・・賜見すること。

下根(げこん)・・・教えを受ける性質、能力が生まれつき劣っていること。

 

内蔵允留守 山本周五郎

【朗読】内蔵允留守 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「内蔵允留守」(昭和15年)です。中学校の教科書に掲載された作品で、道を究めることについて書かれています。

内蔵允留守 主な登場人物

岡田虎之助・・・二十五歳。近江国蒲生郡の郷士の子。刀法に長じ、別所内蔵允のもとに秘奥を学びに出てきた。

奈美・・・十七八歳の熟れた葡萄のような艶々しい表情の多い瞳と笑うとえくぼの出る豊かな頬が目を惹く。祖父と二人で暮らす。

閑右衛門・・・豊島郡に古くから百姓を営んでいたが、隠居して孫娘と二人で移り住んでいる。

別所内蔵允・・・天真正伝流の名人。かつて将軍家から師範に懇望されたことがある。目黒の里に隠棲したが、ふらっと何処かに出かけて留守にしている。

弥助・・・別所内蔵允宅の留守番役。

別所内蔵允 あらすじ(※ネタバレを含みます)

岡田虎之介は幼少の頃から刀法に長じ、畿内で指折りの兵法家の教えを受けていたが、この夏に皆伝を許され、これ以上は江戸の別所内蔵允どのに就いて秘奥を学ぶようにと、添書を貰って出てきた。別所内蔵允は天真正伝流の名人。かつて将軍家から師範に懇望されたことがあるが受けず、その気骨と特異の刀法で当代の一勢力を成していた。虎之介が別所内蔵允を訪ねた時にはすでに道場を去り、目黒の里に隠棲した後だった。虎之介はそのまま目黒の里を訪ねたが、別所内蔵允は留守だった。

別所内蔵允 覚え書き

疎林(そりん)・・・立ち木のまばらな林。

叢林(そうりん)・・・樹木が群がって生えているところ。

砂礫(されき)・・・砂と小石。しゃれき。

筍笠(たけのこがさ)・・・竹の皮を割いて編んだかぶり笠。

畿内(きない)・・・京都に近い国々。山城・大和・河内・和泉・摂津の五か国。

懇望(こんもう)・・・ひたすら願い望むこと。

気骨(きこつ)・・・自分の信念を守って、どんな障害にも屈服しない強い意気。

盛名(せいめい)・・・りっぱな評判、盛んな名声。

閑雅(かんが)・・・しとやかで優雅なこと。また、そのさま。

指頭大(しとうだい)・・・指の先。ゆびさき。

清冽(せいれつ)・・・清らかに澄んで、冷たいさま。

双頬(そうきょう)・・・両の頬。

安閑(あんかん)・・・のんびりとして静かなさま。心身の安らかなさま。

磐石(ばんじゃく)・・・堅固でしっかりしていてびくともしないこと。

声高(こわだか)・・・話し声の調子が高く大きいこと。

土百姓(どびゃくしょう)・・・百姓を卑しめていう語。

諸侯(しょこう)・・・多くの人々を敬意を込めていう語。

得手(えて)・・・巧みで得意なこと。最も得意とすること。

路用(ろよう)・・・旅行の費用。旅費。

闊然(かつぜん)・・・迷い、疑いなどが突然解けるさま。心が明るくひらけるさま。

無窮(むきゅう)・・・果てしないこと。また、そのさま。

 

 

 

 

 

 

 

 

凌霄花 山本周五郎

【朗読】凌霄花 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「凌霄花」(昭和28年)です。ノウゼンカズラは夏から秋にかけ橙色あるいはあ赤色の大きな美しい花を付けます。中国原産で平安時代には日本に渡来していたようです。昔から毒があるといわれていますが迷信とのことです。(Wikipediaより)この作品は、凌霄花の下で「お互いに結婚しても、この花が咲くころにこなったら、一年に一度でいいから二人で逢いましょうね。」と約束する幼なじみ二人の甘酸っぱい話です。

凌霄花 主な登場人物

滝口高之助・・・代々千八百石の城代家老のひとり息子。「勤倹な滝口殿」といわれるつましい家風に育つ。

ひさ江・・・城下町で一番大きい呉服太物商で藩の金御用を勤める津の国屋のひとり娘。わがままいっぱいに育てられ、おてんばで負け嫌い。

五十嵐登美・・・五百石の番頭の三女。明るくおきゃんな性質でみんなに好かれている。高之助の従兄妹。

近田数馬・・・二十三歳。七十石の櫓番。一刀流の刀法では彰志館の三俊に数えられ、高之助とほぼ同じ時期に槍に転向する。

凌霄花 あらすじ(※ネタバレを含みます)

高之助とひさ江は幼なじみだった。高之助は勤倹な城代家老の一人息子。ひさ江は津の国屋という城下町で一番大きい呉服太物商で、藩の金御用を勤めていた。高之助は七歳のとき母に連れられて津の国屋に行き、母が奥座敷で好みの衣類などを選ぶあいだ、ひさ江と庭に出て一緒に遊んだ。ひさ江は富豪の家のひとり娘で、わがままいっぱいに育てられたうえに、おてんばで、負け嫌いで、いつも高之助のほうがいつも圧倒されていた。ひさ江はろうじぇんかじや(凌霄花)が大好きだった。高之助が十三になった年に母のその女が亡くなったので津の国屋へいく機会も絶えた。高之助が十七歳の春、従兄妹の登美のことづてでひさ江と初めて天神山の女坂の登りぐちで逢った。その季節には気付かなかったが、そこには凌霄花がたくさん蔓を伸ばしていた。高之助とひさ江は愛し合っているにもかかわらず、城代家老と商人という身分の差と、どちらも跡継ぎの一人っ子だから結婚の望みはまったくなかった。

凌霄花 覚え書き

古代切(こだいぎれ)・・・古代の織物の切れ端。正倉院に残るものから、宋、元、明渡来の名物切などまでをいう。

仕舞(しまい)・・・能・芝居・舞踊などで舞ったり、演技したりすること。

切り口上(きりこうじょう)・・・形式的で無愛想な云い方。

勤倹(きんけん)・・・勤勉で倹約なこと。仕事に励み、無駄な出費を少なくすること。

分限者(ぶげんしゃ)・・・金持ち・財産家

気組み(きぐみ)・・・物事に取り組む心構え。意気込み。

些末(さまつ)・・・重要でない、小さなことであるさま。

双手(もろて)・・・両手。

 

 

初午試合討ち 山本周五郎

【朗読】初午試合討ち 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回の初午試合討ちは少年もので、昭和13年35歳の作品です。3年前に突然、本所蜆河岸の道場から姿を消した仁木兵馬が帰ってきます。しかし彼は尾羽打ち枯らした落魄れた姿となり、酒ばかり飲んでいます。友情と裏切り、復讐といったテーマが巧みに絡み合った痛快な作品、最後までごゆっくりお聴きください。

初午試合討ち 主な登場人物

仁木兵馬(にき ひょうま)・・・元々本所蜆河岸の道場にいた才能溢れる剣士。3年前に突然姿を消す。

松林甲子雄(まつばやし きねお)・・・兵馬が戻ってきた時、道場の再建を果たし、亡くなった師匠の一人娘、小浪と婚約している。

本山図書(もとやま ずしょ)・・・兵馬と甲子雄を高く評価している剣客。

小浪・・・本山図書の一人娘。彼女をめぐって道場の跡目問題が起こる。

佐兵衛・・・は組の火消し頭。兵馬と懇意。

安吉・・・お天気安。佐兵衛の部下。鍔を収集するのが趣味。

辰次・・・は組の若いもの。

初午試合討ち あらすじ

ある日、「お天気安」と呼ばれる若者が、は組の火消し頭である佐兵衛の元へ駆け込んできます。「は組の若い者が全滅した」という衝撃的な知らせに佐兵衛は現場に急行します。しかし、そこには元気な辰次が浪人を介抱する姿がありました。その浪人は、かつての有望な剣士・仁木兵馬であり、佐兵衛は彼を自宅へ連れ帰ります。

3年前、突然姿を消した兵馬。道場は火災で焼け、師匠の本山図書も亡くなっていました。道場を再建したのは松林甲子雄で、彼は亡くなった師匠の娘、小浪と婚礼を挙げる予定になっていたのでした。

 

初午試合討ち アリアの感想と備忘録

この作品、ドラマで観たい!というのが感想です。話全体に、友情、愛情、裏切りと復讐と盛り込まれていて、とても魅力的でした。兵馬と甲子雄の対決も良かった!兵馬が三年の間にどのような修行をしたのか、もっと知りたかったです!ご視聴いただいた感想は是非、Youtubeのコメント欄でお待ちしています。お読みいただきありがとうございました。

 

初夜 山本周五郎

【朗読】初夜 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「初夜」(昭和29年)です。明和9年 二月初旬のある日、寄合肝煎の脇屋代二郎の屋敷へ、上士の下の番頭で練志館の師範を兼ねる除村久良馬が訪ねてきます。代二郎二十六歳、久良馬は代二郎より三歳年長の二十九歳、二人は全く違った性質で、代二郎が十五歳の年に江戸へゆき、聖坂の学問所へ通学するかたわら、柳生の道場でも修行した。そのころから二人は互いに心をゆるしあうようになった。江戸から帰っても、ずっと親しい往来が続き、久良馬が結婚してから間もなく、代二郎は彼の妹・桃世と婚約を結んだのであった。

初夜 主な登場人物

脇屋代二郎・・・寄合肝煎 武芸にはあまり興味が持てない。久良馬にはかなわないと思っている。密談の際は、経済や政治の説明役のような立場だった。

除村久良馬・・・練志館の師範。妻子がある。紛れのない決断や実行力があり、自分が好んですることを恥じない。

桃世・・・久良馬の妹。十四歳の時、代二郎と婚約する。

久保貞造・板土友次郎・丸茂源吾・・・練志館の門人。

石見守康富・・・藩主。

右京亮康貞・・・松平出羽家からの養子。藩政の混乱させている。

井関籐也・落合庄次郎・・・右京亮の側用人。

初夜 覚え書き

上士(じょうし)・・・身分の高い武士。

一期(いちご)・・・人の生まれてから死ぬまでの間。

不参(ふさん)・・・参加しないこと。

臆した(おくした)・・・気おくれしておどおどすること。

名聞(みょうもん)・・・世間での評判・名声。

多血質(たけつしつ)・・・快活、楽天的、社交的で気が変わりやすい気質。

重畳(ちょうじょう)・・・幾重にも重なること。

加印(かいん)・・・保障のために押すもの。

善後(ぜんご)・・・あとのためによいようにすること。

主我(しゅが)・・・何事も自分を第一に考えて、他をかえりみないこと。

不即不離(ふそくふり)・・・二つのものが強く結びつきもせず、また、離れもしない関係にあること。

敢然(かんぜん)・・・困難や危険を伴うことは覚悟のうえで、思い切って行うさま。

余歩(よぶ)・・・検地のさい、農民のために計りのこす部分。

紊乱(ぶんらん)・・・秩序・風紀などが乱れること。

癇癖(かんぺき)・・・怒りっぽい性質。

温厚篤実(おんこうとくじつ)・・・性質がおだやかでまじめな様子。人当たりがやわらかく誠実な様子。

騒擾(そうじょう)・・・集団で騒ぎを起こし、社会の秩序を乱すこと。

翻意(ほんい)・・・決意をひるがえすこと。

僧形(そうぎょう)・・・僧の姿。髪をそり、袈裟を着た姿。

文弱(ぶんじゃく)・・・学問や芸事にふけって弱弱しいこと。

 

 

 

 

 

 

 

初蕾 山本周五郎 

初蕾 山本周五郎 読み手 アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は山本周五郎作「初蕾」(昭和22年)です。この作品は、何度もTVでドラマ化・舞台化される人気作品です。特に赤ん坊と共に、お民がぐんぐん成長していく姿が感動的です。(初蕾/月の松山)新潮文庫

初蕾 主な登場人物

お民(うめ)・・・小料理茶屋「ふじむら」の女中。十八歳。ふじむら小町と云われている。半之助の子を身籠った。

梶井半之助・・・お民との関係に正当なことを言った森田を斬ってしまい、人間らしい者になってくると江戸へ行ってしまう。

喜右衛門・・・廻船問屋の隠居。お民の面倒をみようとする。

梶井良左衛門・はま女・・・半之助の両親。門前に捨てられた赤ん坊を育てる。うめを乳母として雇う。

小太郎(松太郎)・・・梶井家の前に捨てられた子。半之助・お民の子。

 

初蕾 あらすじ

小料理茶屋の女中お民は、武士・梶井半之助と逢瀬を繰り返し彼の子を身籠っています。その子を産み、彼の実家の門前に捨て、喜右衛門の紹介で自分は乳母「うめ」として家に入ります。半之助の母・はま女から見て、うめは欠点が多く目につくことばかりだった。しかし赤児の世話だけは親身になってする。そこがはま女の気持ちをひきつけ、子どもにさえよくしてくれれば、あとは少しずつ根気で教えていってもよいと考えるようになった。うめも十九になって初めて作法の厳しい武家で、細かい習慣、心構えまで変えるのは大変だった。しかしうめは小太郎のために辛抱した。うめはやがて目が開き人が違ったように変わった。そしてある時、半之助の居所がわかったのであった・・・

かん太
森田と果し合いをした半之助がお民のもとへやってくる場面で雨が降ってるよ。
アリア
初蕾は梅でした。「去年の花の散ったことは忘れたように、どの枝も新しく活き活きと蕾をふくらませます。帰ってくる半之助にとって自分が初蕾であるようにそれだけを考えて」とはま女がお民にやさしく云います。

初蕾 覚え書き

御師(おし)・・・祈祷を専門にする神職や僧。

機縁(きえん)・・・ある物事が起こったり、ある状態になったりするきっかけ。縁。

境涯(きょうがい)・・・この世に生きていく上でおかれている立場、身の上。

致仕(ちし)・・・官職を退くこと。また、退官して隠居すること。

行李(こうり)・・・竹や柳で編んだ箱型の物入れ。

襁褓(むつき)・・・おむつ

讒誣(ざんぶ)・・・事実でないことを言い立てて他人をそしること。

敲く(たたく)

名主(なぬし)・・・江戸時代の村役人の場合なぬし、荘園や公領の中で名田を所有する農民の場合はみょうしゅとよむ。

些末(さまつ)・・・重要でない、ちいさなこと。

規矩(きく)・・・考えや行動の基準とするもの。

慄然(りつぜん)・・・恐れおののくさま。恐ろしさにぞっとするさま。

厭悪(えんお)・・・嫌い憎むこと。ひどくいやに思うこと。

 

 

勘弁記 山本周五郎

【朗読】勘弁記 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「勘弁記」です。この作品は昭和20年、42歳の作品です。最後がざっくりいってしまうので、実はもっとお若い頃の作品かと思いました。自分自身の問題でないことで果し合いになるのですが、よく考えると相手が妹婿だっただけに許せない気持ちが強まったのかな。ちょっと乱暴だなと思った作品でした。皆さんはいかが思われましたか?

千代紙行燈 山本周五郎 

【朗読】 千代紙行燈 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「千代紙行燈」(昭和14年)周五郎先生36歳の作品です。同年だけで、「奇縁無双」「峠の子守唄」「違う平八郎」「粗忽評判記」「金作行状記」等など書かれています。

千代紙行燈 主な登場人物

奈美・・・十八歳。病める緋牡丹といった美しさ。江戸表日本橋小伝馬町の呉服商、松田屋の主人。身体が弱く父母を亡くして悲しい身の上。

そで・・・奈美のばあや。

佐伯助次郎(若様金三)・・・播州浪人。旅の道中さらわれそうになった奈美とそでを助ける。

喜右衛門・・・松田屋の支配人。うわべは実直だが、腹はよくない男。

痕権(痕の権兵衛)・・・高頬に刀痕のある男。かみそりのような眼をしている。

千代紙行燈のあらすじ (※ネタバレを含みます)

藤沢の宿から江ノ島に向かって歩いてた奈美とばあやのそでは、突然後ろから走ってきた若侍に、宿で彼の金子を盗み去った者と間違われる。すぐに誤解は解けたが奈美は若侍にひと眼の恋をした。・・・しかしすぐに若侍は走り去ってしまった。一夜経って旅の帰りの道中、身代金目的に痕の権兵衛にさらわれそうになる奈美とばあやのそでは、偶然、先日の若侍に危ないところを助けられる。若侍は播州浪人の佐伯助次郎といい、江戸の身寄りの者を訪ねていく途中だった。助次郎はそでの勧めで奈美の住む橋場の寮の離家に立ち寄ることになった。そこは千坪の敷地に贅を凝らした母屋と茶室風の離室が建っていた。滞在して七日目、助次郎は奈美の琴の音に足を止めた。それは「千鳥の曲」であった。亡くなった母代わりの姉がよく弾いていた曲である。助次郎はこの曲を聴くと気の優しかった姉を思い出す癖がついていた。奈美は、助次郎の姉の話を聞き、自分の悲しい身の上に重ね、涙するのであった。そこへ、そでがやって来て奈美の哀れな身の上を語った。松田屋の主人は五年前に死んだ。店は京の松田屋の系統で、京の方を本店と呼んでいた。ひと頃は、本店の二男辰之助を奈美の婿に迎える話もあった。しかし、支配人の喜右衛門がうわべは実直に装いながら店の勢力を自分の手に握り、本店と手を切るように謀っていた。奈美と辰之助の縁談も自然と消滅したのだった。さらに喜右衛門は自分の倅を奈美の婿にと計りはじめていた。話を聞いた助次郎は、「長者番付に載っている大家でも裏にはこんな悲劇がある」と深くため息をついた。

かん太
ここで助次郎の気が変わるんだ。
アリア
助次郎は、喜右衛門たちの小酒盛に踏み込み、自分は「京の本店の辰之助」と名乗り、彼らの主家横領を成敗するんだ。これで腹黒い喜右衛門をはじめ、息のかかった者たちが一時に店を出奔したんだ。めでたしめでたしだよ。
アリア
店のことが収まると、助次郎も奈美に「これからきっと幸せになれる。」と云って、別れを告げて出ていくんだ。そして奈美の元へは、縁談が自然消滅していた辰之助が来ることになったんだ。
かん太
これで終わりじゃないんだよ。実は助次郎は、痕の権兵衛の書いた筋書きで、松田屋の土蔵にうなっている金を根こそぎ掠おうと若侍のフリをしていたんだ。最後はね・・・・・。

千代紙行燈 覚え書き

従類(じゅうるい)・・・一族、家来の総称のこと。

人品(じんぴん)・・・人としての品格。特に身なり、顔立ち、態度などを通じて感じられるその人の品位。

辻斬り(つじぎり)・・・武士が刀剣の切れ味や自分の腕を試すために往来で人を斬ったこと。

追剥ぎ(おいはぎ)・・・通行の人をおびやかして衣類や持ち物などを奪うこと。

恰幅(かっぷく)・・・肉付きや押し出しから見た、からだの恰好や姿。

理非(りひ)・・・道理にかなっていることと外れていること。

詠歎(えいたん)・・・物事に深く感動すること。

野面(のづら)・・・野のおもて、野原。

荒涼(こうりょう)・・・荒れ果ててものさびしいこと。また、そのさま。

妙筆(みょうひつ)・・・非常にすぐれた筆跡。また、その書画や文章。